つくしんぼ
つくしんぼ なくした首の 重きこと
後藤は僕が東京にいた頃からの友人だった。
おおぼらふきで、
調子よくて、
見栄っ張りで、
大人になってからも指しゃぶりの癖が抜けなくて、
右手の親指の爪は変形していた。
そんな彼と熊本で再会したのは、
福岡の彼の経営する会社が倒産した後だった。
その頃まだ僕の会社は順調で、頼ってきた後藤を雇い入れた。
その後彼は再び会社を興し頑張っていたようだが・・・
突然行方不明の報が。
彼らしき遺体が見つかったのは結局1年くらいたった菊池の谷底で、
その時の彼には、首が付いていなかった。
自殺、他殺、事故いろいろ取りざたされたが、結局真相は藪の中。
おおぼらを吹きながら得意満面の笑顔を見せた彼と
指をしゃぶりながら、時折見せる心細そうな背中・・・
どこかの町でへらへら笑っている後藤とばったり出会いそうな気がして。。。