スベリヒユ
野草・薬草うんちく
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スベリヒユ (ポーチュラカ)
【英名】ポーチュラカ
【学名】Portulaca oleracea
【生薬名】バシケン(馬歯筧)
【漢方名】五行草
【別名】サケノンベグサ、ヨッパライグサ、ゴンベエグサ、トンボグサ
知識
畑、路傍、土手、野原など日のあたるに自生するスベリヒユ科の1年草。
温帯から熱帯地方の世界各地に分布し、日本全土に見られる
へら状の葉は肉厚で対生し、地面を這うように四方に広がる。
夏に黄色の小花を咲かせる。
暑さや乾燥に非常に強いが耐寒性はない。
畑などに群生するので農家の人にとっては邪魔な雑草の一つとして知られています。
コンパニオンプランツとして、アブラナ科の野菜全般と相性が良い。
昔、ききんに備えて、夏に採取し、乾燥させ、おひたしなどに使用したが、多食すると下痢をすることから控えめに食べた。
近似種のポーチュラカはハナスベリヒユと呼び、園芸種として出回っている。その他にタチスベリヒユ(オオスベリヒユ)という種類もある。
日本では平安時代の文献「和名抄」にウマヒユの名前で食材として登場する。
料理
初夏から秋に根を除く全草を採取。
熱湯でゆで水に晒してから、油炒めやあえ物、汁の実、煮物、天ぷらなどにします。独特のぬめりと酸味がある。またスープとしても独特のぬめりがある。
実も生もまま食したりパンに加えたりして使用する。
山形では「ひょう」と呼ばれ、山菜の一種として、茹でて芥子醤油で食べる。
干して保存食として利用される。
干すと葉が取れて茎だけになり、干しゼンマイのようになる。
沖縄では「ニンブトゥカー(念仏鉦)」と呼ばれ、葉物野菜が少ない夏に重宝される。
貝原益軒の「菜譜」にも「すみそにして、さしみにす」とある。
フランス、ドイツ、オランダ、ギリシャ、トルコの他、ニュージーランドベトナム、中国(華南省)では野菜としての改良種のタチスベリヒユがサラダに用いられている。
ポーチュラカ(ハナスベリヒユ)もスベリヒユと同様に生でも加熱しても食用として利用できる。
ビタミンB、マグネシウム、鉄分に富む。
薬理
夏場に全草を採集して日干しにして乾燥させる。
オメガ-3脂肪酸を多量に含む植物としてしられている。
主要成分はカテコールアニン、ケンフェロール、アピゲニン、ミリセチン、クエルセチン、ルテオリン、ルアドレナリン、ドーパミン、ドーパ、リンゴ酸、クエン酸
利尿作用、健胃、イボ取り効果、むくみ解消、癌の予防などの効能がある。
毒虫や痒み、皮膚病、腫れものには生葉の汁液を擦り込む。
利尿には乾燥した全草5~10gを水400ccで半量に煎じ、1日3回服用。
オメガ3脂肪酸の効能
① コレステロール値を下げる
② 中性脂肪を下げる
③ 動脈硬化、心筋梗塞、高血圧、脂肪肝、高脂血症、癌などの予防
④ 加齢黄斑変性予防
⑤ ダイエット
⑥ 記憶力アップ
⑦ 花粉症、アトピーの症状緩和
薬草酒(スベリヒユ酒)やお茶にして利用する。
日本では「五行草茶」として商品化されている。スベリヒユ茶は癖がなく飲みやすく、毎日飲用するとよい。ただし妊娠中の人は飲用を控える事。
中国では五行草とよばれる漢方薬で古い歴史を持っている。
茎が赤く、葉が緑、花が黄色で根が白色、実が黒いのでこの名前で呼ばれている。
その他、馬歯菜、酸筧、猪母菜、地馬菜、馬蛇子菜、長寿菜、老鼠耳、宝釧菜などの呼び名がある。
エピソード
名前の由来はぬめりがあり、葉がすべすべして、古くウマヒユの名前がスベリヒユになったとうい説ががあるが、定説ではないようだ。
別称として食べ過ぎるとお腹をこわすのでズルズルビーとも呼ばれる。
古代のプリニウスの「博物誌」では様々な傷病に効く薬草として紹介されている。