よもぎ
BONGAマスターのスパイスうんちく
更新日2015.6.3a:7204 t:1 y:0
よもぎ
【日本】ヨモギ(蓬)
【英語】japanese mugwort
【学名】Artemisia indicavar maximowiczii
【別名】モチグサ(餅草)、エモギ、サシモグサ、サセモグサ、サセモ、モグサ、タレハグサ、ヤキクサ、ヤイグサ
知識
キク科の多年生草本で原産地は北アジアといわれている。
日本、インド、中国、ヨーロッパ、北アメリカに自生する。
繁殖力が強く、各国で帰化、雑草化しており、種類は200種以上知られている。
セイタカアワダチソウと同様に地下茎などから他の植物の発芽を抑制する物質を分泌する。(アレロパシー現象)
特有の香りがあり、その主成分はシネオール、ツヨン、β-カリオフィレン、ボルネオール、カンファー、パルミチン酸、オイレン酸、リノール酸、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2など。
食用の他もぐさや外用薬、浴用剤としても利用されます。
西南諸島にはニシヨモギが自生し、沖縄方言で「フーチバー」と呼ばれ、沖縄料理に使用される。
またよもぎには有毒成分ツヨンが含まれる品種があるので注意すること。
日本へは江戸時代に伝わり、新井白石が広めたといわれている。
挿し木や株分けで簡単に増やすことができる。一般的に春の若葉を収穫するが、もぐさとして利用するときは、夏場の1メートルくらいになった茎を刈り取って乾燥させる。また秋に根ごと掘り起こして乾燥させる。
*気になったら クリック
料理
春に摘んだ新芽は茹でて、おひたしや汁物の具、草餅(蓬餅)の他、天ぷらにして食べたりヨモギ茶として利用します。天ぷらにするときは油の温度を低めにしてゆっくり揚げるのがコツ。
沖縄では沖縄そばの具やヤギ肉の臭み消し、「ふーちばーじゅーしー」という雑炊に入れて調理します。
ヨーロッパでは葉を豚肉料理などの脂っこい肉料理の付け合わせにしたり、ガチョウ料理の詰めものの材料として使用。
アジアや日本では緑の着色料として使用される。
調理法はあく抜きがこつで、重曹を加えたお湯で葉を柔らかくなるまでゆで、煮汁を絞り天日乾燥させると長期保存ができる。
戻す時は再度重曹を加える。乾燥したものの方が風味がよい。
薬理
「ハーブの女王」と呼ばれるほど効能は絶大で、食用の他、浴用剤、外用薬、お灸の他アロマテラピーとして利用されています。
食物繊維はほうれん草の10倍含まれ、特にクロロフィルは食物繊維の5000分の1の大きさの成分で、小腸絨毛の奥に蓄積したダイオキシン、残留農薬、有害金属(水銀、鉛)、化学物質(食品添加物など)を取り除き、腸をきれいにする働きがあります。
それにより血圧改善やコレステロールを下げる他、発がん防止、生活習慣病の改善、アレルギー疾患、口臭・体臭防止の効果があります。
肌に付けることで切り傷やアトピーなどの改善にも民間薬として使用されてきました。
よもぎの匂い成分であるシオネールやαツヨンは防腐、殺菌効果に優れ、天然の防腐剤に使われていました。
その香りはヨモギ枕として、リラックスや安眠のアロマ効果が期待できます。
またよもぎ蒸しとして美容と婦人病の改善、お灸に腰痛や神経痛の緩和などに使われます。
お灸は血行促進、浴用剤としては美肌効果があります。
また近年では活性酸素から身を守り、血行を促し体調を整え、細胞や血管の老化を防止するアンチエイジング効果があることが現代医学からもその効能が化学的にも認められ高く評価されています。
●よもぎと野菜の栄養成分の比較(可食部100g当たり)
食品名 | 食物繊維(g) | ナトリウム(mg) | カリウム(mg) | カルシウム(mg) | リン(mg) | 鉄(mg) | β-カロテン(μg) | レチノール当量(μg) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
よもぎ(葉・生) | 7.8 | 10 | 890 | 180 | 100 | 4.3 | 5300 | 440 |
よもぎ(粉末) | 12 | 65.2 | 2190 | 1230 | 312 | 53.6 | 16200 | 2700 |
ほうれん草(葉・生) | 2.8 | 16 | 690 | 49 | 47 | 2 | 4200 | 350 |
にんじん(根、皮つき、生) | 2.7 | 24 | 280 | 28 | 25 | 0.2 | 7700 | 760 |
西洋かぼちゃ(果実、生) | 3.5 | 1 | 450 | 123015 | 43 | 0.5 | 3900 | 330 |
普通牛乳 | 0 | 41 | 150 | 110 | 93 | - | 6 | 38 |
*「五訂増補日本食品標準成分表」他参照
よもぎの煎じ液の作り方
胃の働きを活発に丈夫にします。
6~7月の頃のよもぎ10gほどを150ccの水で半量になるまで煮詰める。これを1日3回に分けて飲み続ける。
よもぎの搾り汁の作り方
血圧の高い人に効果がある。
生のよもぎをつぶしてガーゼに包み汁をしぼる。空腹のときにその汁を盃一杯飲む。
また止血作用もあるので、ガーゼに含ませ使用すると痔や鼻血に効果がある。
下痢止め煎じ液の作り方
フリージングしたよもぎ2gと5gの生姜を150ccの水で煎じ1日3回に分けて飲むと
下痢止めの効果がある。
浴用剤として使用すると腰痛、神経痛、リューマチに効果がある。
1回の使用量はフリージングや乾燥したもので300g、生の葉で1kgをさらしやガーゼの袋に入れて水から沸かすのがコツ。
切り傷には新芽を摘み、よくもんで傷口にあてる。軽い傷ならこれだけで効果がある。
精油に含まれるシネオールは虫よけ効果がある。
灸に使われるもぐさは夏場に刈り取った葉を乾燥させ、手でよくもんで葉の裏側の繊毛を綿状の固まりにしたもので、施灸すると白血球を強くするといわれる。
エピソード
ヨモギの学名はギリシャ神話の健康の女神、アルテミスからとったものです。
東洋医学でもヨモギの語源は驚くべき生命力で四方によく繁殖するので「四方草」、よく萌え出るので「善萌草」と名付けられたと云われています。
このヨモギの生命力にあやかって昔から魔除けや厄払いに利用されてきました。
お灸のもぐさとして使われ始めたのは約3千年まえの中国北部地方で、日本に伝わってきたのは西暦600年ほど前です。
日本では古来、地方によって上巳ジョウシの節句(雛祭り)によもぎ入りのもちを食べたり、端午の節句には菖蒲とよもぎを束ねて軒にさす風習があるが、これはよもぎが邪気を払い長寿を約束するものと信じられていたからだ。
ただしこの風習の由来はずいぶん後になって付け加えられたものだろう。