タラゴン
BONGAマスターのスパイスうんちく
更新日2013.8.6a:5381 t:1 y:1
タラゴン、エストラゴン
【和漢名】タラゴン、エストラゴン
【英名】Tarragon
【仏名】Estragon
【学名】Artemisia cracuncuius
知識
キク科ヨモギ属の多年生草本で、原産地はロシア南部、西アジア、東ヨーロッパ一帯といわれる。
主な産地はフランス、オランダ、ドイツ、スペインなどのヨーロッパ各地のほかアメリカなど。
日本のヨモギの近縁種で、フランスでは「食通の好むハーブ」と呼ばれ、ヨーロッパやアメリカで広く使われている。
ギリシャ時代には薬草として使われてきたが、スパイスとして使われだしたのは中世以降といわれる。
日本には大正4年頃渡来したといわれる。
タラゴンの栽培品種には地中海地方原産のフランス種とシベリア原産のロシア種がある。
スパイスとして評価が高いのはフランス種で商業的価値も高い。
フランス種は香りが強く、アニス系の甘い芳香と、わずかにセロリーに似た香りがある。
芳香成分はエストラゴールでその量は開花直前にピークになる。
したがって葉は開花直前に摘まれたものが、もっとも評価が高い。
ロシア種はアニス系芳香がなく、全体的に香りが弱い。
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料理
アニス系の甘く柔らかな香りと、かすかな辛みがあり、そのデリケートな風味は肉や魚の臭みを和らげる。
バターやクリームなどと一緒に使用すると、脂肪分をスッキリさせる効能がある。
生の葉をサラダなどで使用するほか、ピクルスやマリネに利用される。
ポークやチキン、白身魚のローストの下味付けに生またはドライのタラゴンと塩、ブラックペッパーをブレンドしたものを振りかける。
卵料理の香り付けに、タラゴンの生を刻んで振りかける。
ガーニッシュ(飾り薬味)として鶏肉料理やエスカルゴに添えられる。
エスカルゴにはタラゴン、バター、ガーリックを合わせて使用するとよく合う。
フランスではエストラゴンビネガーが市販されている。
このエストラゴンビネガーでサラダドレッシングやマヨネーズ、フレンチマスタードなどを作る。
そのほかピューレやクリームスープの材料としても使われる。
スコーンやマフィン、甘みを抑えたクッキーなどの生地に練りこんで香味付けに使用する。
ドライの葉はハーブティとしてよく使われる。
薬理
消臭作用のほか酸化防止と殺菌作用に優れている。
体内浄化、食欲増進、消化不良、胸やけ、腸内ガス、便秘、下痢、利尿、痛風、リューマチ、鎮痛の治療に使われる。
タラゴンのハーブティは体がだるいと感じた時に飲むとよい。
また精神面に刺激を与える。
少量の毒性(発がん性の疑いもある)が含まれるので過度に使用しないこと。
特に妊娠中は使用しない。
栽培
フランス種は種子を作らないので挿し木か株分けで増殖する。園芸店で売られている種子はロシア種である。
栽培は容易で、温和な気候で水はけがよく、乾燥気味で、土質が軽く日当たりのよい場所が適している。
厳しい寒さや、多湿に注意する。寒い地域での栽培では根覆いをして根を保護するとよい。
植え付けは4~5月頃で苗の間隔を開けること。
年に2~3回収穫ができ、開花直前の葉や茎を切り取って利用する。
同一株で栽培を続けると、香味が弱くなるので、3,4年ごとに株分けを行うとよい。
タラゴンは野性的な植物で容易に栽培できるが、同一栽培条件でも香味特性が異なるというデリカシーな面も持っている。
エピソード
エストラゴンとはフランス語で「小さな竜」の意味でアラビア語のタルクーンTarkhunに由来している。
エストラゴンが毒を持った爬虫類かまれた傷を治すという伝説から名付けられたという説とこの植物の根が蛇がとぐろを巻いているように見えるという説とがある。